ミャンマーの僧院から工科大学へ進学する孤児の未來

僧院の環境の変化

僧院とは、仏教の寺院に併設されている孤児のための学校です。孤児になる理由は大きく分けて3つあり、内紛・交通事故・貧困で家を失ったことによるもので、寺院がボランティアで運営する寄宿舎に寝泊まりしながら、教育を受けています。 2015年3月に初めてヤンゴン近くの町にある僧院を訪問しました。その当時は、寄宿舎の建物は老朽化し、1つの2段ベッドを4人で共有、自分のボロボロの衣服や日用品もベッドに置かなければならないため、子供達は足を伸ばして寝られず丸まりながら、肩身が狭そうにしていたことを思い出します。 2015年11月に民主化されてからは、各国からの経済制裁が緩和された影響もあり、欧米やアジアなどのNGOからの支援も増えて、子供達が着ている洋服がカラフルになり、宿舎や食堂も改築されて、格段に子供達の表情が明るくなりました。

僧院での教育

私が訪問している僧院では、ミャンマー教育省から先生が派遣されてきており、周りの貧困地域の子ども達を含めると、小学校から中学校まで約500人が学んでいます。受けている教育は、一般の公立学校と同じ教科書を使ったカリキュラムですが、ここでは一般的な学校とは別の大きな壁があります。 僧院の孤児達は、元々地方の少数民族出身者が多く、現在の公用語であるビルマ語を理解しない子ども達もたくさんいます。そうなると、僧院の外の学校と同じ教育を受けていても、習得スピードに大きな差があり、小学校→中学校→高等学校(僧院外)へ進学できる人数はとても少なくなってしまいます。 元々、ミャンマー人は識字率も9割以上と言われており、教育に対する両親の熱意も高い国ではありますが、こういった境遇に置かれている子ども達は、教育以前の言葉の問題も克服しなければなりません。

僧院から大学へ進学する子ども達

そういった苦しい状況の中でも、自らの人生に希望を持ち、高い教育を受けることで自分の人生を変えようと奮闘する子ども達もいます。進学の希望がある子どもに対しては、僧院も僧侶が自ら農業をやりながら、最大限サポートを行なっており、中には最難関の工科大学へ進学する子どもも稀にいます。 孤児でなく、一般家庭に育った大学生でさえ、企業の正社員として若者が安定した職を得ることは難しいのがミャンマー現状です。弊社は、ミャンマーで今後数十年に渡り必要とされるエンジニアを育成するため、孤児達への大学進学教育・奨学金支援プログラムを行なっています。 子ども達が自分の未来に期待できるよう、これからも大きなサポートが必要となります。